『白いおうむの百貨店』
みやざき演劇祭プロデュース公演
作/藤井貴里彦 演出/実広健士
メディキット県民文化センター(宮崎県立芸術劇場) 演劇ホール
9月27日(土) 14時
55歳以上の出演者を公募して、県内の若き演劇人とともに作る、演劇祭のメインプログラム。
ゲストに東京で役者として活躍中の山田キヌヲを迎える。
29名の出演者。このうち、17名がシニアの新人である。
演出にはぐるーぷ連の実広健士。自身シニアであり、すでに延岡でシニア演劇の演出経験済み。脚本は藤井貴里彦。
シニア新人がどんな役者ぶりを見せるのか、注目である。
藤井作品らしく、童話のような物語。
山奥の雑貨店「おうむ百貨店」に出入りする、奇妙な客人・・・キツネだったり、たぬきだったり、鬼だったり。
その店の主人である老女メイコを、彼女の妹の孫千鶴子(山田キヌヲ)が訪ねてくるところから芝居が始まる。
田中明子の、この老女がよい。姿勢よく立って、あらぬ方向を見て語るところが、とぼけた感じでよい。
園田昇のジョン・シルバ。実にかっこいい不良オジサン。普段なにをしている人なのだろうと不思議。
不法投棄の夫婦(黒田吉郎、杉本雅子)が、コントを見ているよう。熱演である。
井上泰伸の狸、児玉昭子の狐も楽しそう。もう少し見せ場が欲しかった。特に井上のサックスは最初から持って出ても良かったのでは?
農家のおばさん二人(中崎節子、原田千賀子)がいかにもありそうな農家のうわさ話という風が良い。
椎屋智氏の村長の妙に公人ぶる語り方がそれらしい。
山姥にとらわれた教頭先生(平島恵子)のどうにもとぼけた感じが巧まず得がたい。
みな新人だし、巧拙あるものの、演技技術とは別レベルの、
若い者には出せない豊かさを感じさせる。
また、それを説得力を持って引き出した実広の、真摯に演劇に人間に向かい合う姿勢に頭が下がる。それにしても、
本来実広自身がめざしている演劇の方向性とはずいぶん異なるものをてがけたものだ。
さてしかし、芝居の中心は、山田キヌヲと、神水流じん子である。
ことに神水流の山姥が傑出している。
最初の人間として出てくるところのきりっと引き締まったところ。一転して山姥となっての荒れた風情。演技というより、「藝」と言ってもよい。
彼女が出てくる中盤以降、芝居のテンポが良くなった。
自身の失った恋の思い出を埋めるために、他者の思い出を奪い取る。
かつてこの店を始めた4人の恋の因縁。そしてそれを思い出させようと、千鶴子の一世一代の演技。
山田の少年っぽさ、純真さを買う。最終盤までなかなかしどころの無い役だが、
全体がよくつながったのは彼女の力量だろう。一方、グレていたという屈折した陰がもう少しほしい。周りの出演者をリスペクトするあまり、
やや遠慮してはいなかったか。
藤井戯曲はなかなか残酷で、ただのおとぎ話では終わらせないのがこの人らしさ。
シンボルと思わせた白いおうむは食べてしまったというのだから、ただやさしいだけの話ではない。
そして、ラストは開発に押しつぶされていこうとする山に、おうむの羽音がこだまする。それがなにを表すのか、それは観客にゆだねられている。
全体的には、ややテンポが遅くもたれるところもあったものの、良いできであった。
しかし、
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