宮崎県立芸術劇場 演劇プログラム・レクチャーシリーズ
おしゃべりなディレクター♯4 平田オリザ×永山智行 演劇を語りつくす90分
宮崎県立芸術劇場イベントホール 11月4日
12月の青年団の公演のプレ企画として、平田オリザさんと永山ディレクターとの対談が行われた。
この企画が決まった時は、平田さん自身でさえ、内閣官房参与に就任することなど、思っていなかったことだろう。
話題は当然、平田イズムがどう現実の政策に反映されようとしているのか、ということになる。
今までなら、「示唆に富む話」とか、「先見性のある話」で楽しく聞いて終わるところだったのだが、今やこの人の話は現実となろうとしているのだ。
文化行政のあり方、特に、劇場のあり方をめぐる話は、まさに目の前に課題を突きつけられることになった。
劇場を規定する法律が現在は無いという。
そこでまず「劇場法」を定める。
そこでは、全国の劇場が階層化される。
・創る劇場
・観る劇場
・交流劇場
トップレベルになる「創る劇場」は当初、全国で30~50カ所、いずれ200カ所程度に、とイメージしているようだ。
「観る劇場」というのは、「創る劇場」で創られたものを、鑑賞する場。
創る劇場となるには、芸術監督、プロデューサー、教育担当プロデューサー、など、創るための専門スタッフが常駐することが求められる。そしてそこで実際に創作する俳優は、かなりの数が東京など外部からの人が入ってくることになるだろう。
そうなると、地域の人の活躍の場は? 外部からの人たちをうまく受け入れることができるのか?
現実的に、宮崎で起きそうなことを想像してみる。
まず、我らが宮崎県立芸術劇場はどの道を選ぶのか。
創る劇場となるのか。観る劇場となるのか。それとも多目的ホールとなるのか。
もちろん、最高レベルの物を作り出す、創る劇場となってほしいと願う。
しかし、県としては予算を増やしはしないだろう。国からの補助が増えるだろうか? それはわからないが、あまり期待できないのではないか。そうすると、まず最初の段階でつまずいてしまう。
もし予算が付いたとして、次はどのように使われるのかだ。平田さんの話の中でちょっと気になったのは、彼は演劇の人だから話が演劇中心に進むのだが、実際に劇場を拠点とするのは演劇だけではなく音楽もダンスもある。
宮崎の場合はすでに音楽が劇場運営の中心に座っている。仮に創る劇場となったとしても、現在のクラシック音楽のアカデミークラスや音楽祭をもって、「創る」と称して、実質的にはあまり変わらない可能性もある。
それもまたクリアして、演劇も創造しましょうとなったとき、どうするのか。外部から実績のある演出家が芸術監督として乗り込み、東京の役者を中心として芝居づくりをする。確かに刺激は受ける。そして地域の演劇も徐々に盛んになっていくだろう。
「プロのスポーツクラブだったら、全国レベルのチームを作るのに県民だけにこだわることはないだろう」という理屈は、わからなくもない。
でも、地域に暮らしていると、それは今ひとつしっくり来ない。
プロ野球だって、外国人枠がある。高校野球も県外から優秀な選手をかき集める私立校のやり方をあまり良いと思えない。
どうだろう。
そして、その結果、地域の演劇人のあり方も変わってくるだろう。
今まで地域でトップを行っていたと思っていた劇団が立場をなくすこともあるだろう。プロ化して行く人と、アマチュアでよしとする人との間で階層化が進むかもしれない。地域の演劇人はより地域と密着していく方向に活路を求めていくことになるかもしれない。教育や福祉の分野で演劇のスキルを生かし、演劇で食っていける人が増える可能性もある。
民間人の劇団は、それぞれにたくましく生きる道を模索する必要がある。
とにかく、地域演劇にとって、これから大きな変革の波が押し寄せてくることは間違いない。
数歩先を読んで、アクションを起こしていかなければ、宮崎の本当に演劇未開の地になってしまう。
これから当分、平田オリザと民主党政権の文化政策から、目が離せない。
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